固定電話のノイズを大幅に低減出来た。

私の家ではオーディオ システムのサブウーファーを使用していると、固定電話機盛大なノイズ(雑音)が入り、通話が出来ずに困っておりました。

普段の通話ではノイズは無く、サブウーファーを起動している間だけ強いノイズが入ってしまいます。
かつて繋がっている沢山の電子機器のスイッチを1つずつ入り切りしたり、配線を替えて検証したのですが、その時は解決策は見出だせませんでした。

この度、時間を掛けて徹底的に調べましたところ、ノイズの正体とノイズが電話機に侵入する経路が判りました。

まず、発生源はサブウーファーに搭載されているスウィッチング電源でした。
これが60kHzのノイズを発生させておりました。

オシロスコープのプローブの先端をネットワーク スウィッチのポートとLANケーブルのプラグとの接点に当てているところを撮影した写真。
ネットワーク スウィッチのポートとLANケーブルのプラグとの接点にオシロスコープのプローブの先端を当てている写真。

上の写真のネットワーク スウィッチはノイズ対策で導入したBuffaloの “LSW3-GT-5NS/BK” という製品です。
詳しくは後述しますが、ノイズ低減効果は素晴らしいものでした。

オシロスコープの画面の写真。 凡そ60kHzの正弦波が多重になったノイズ波形が映し出されている。
オシロスコープに映し出された凡そ60kHzのノイズの写真。

これは元々使用していたネットワーク スウィッチであるBuffaloの “LSW-TX-5EPB” のポートにオシロスコープのプローブを当てて表れた正弦波のノイズ波形です。
このノイズは60kHzの周波数である事が判ります。

次に、経路ですが、以下の様な経路を辿ってノイズが伝わる事が判りました。

[サブウーファー] –> [RCAピンプラグ ケーブル] –> [AVアンプ] –> [HDMIケーブル] –> [PlayStation 3] –> [LANケーブル] –> [ネットワーク スウィッチ] –> [LANケーブル] –> [光回線終端装置] –> [電話線] –> [電話機]

発生したノイズがこのような流れで伝達して電話機に侵入しておりました。
上記の構成ではPlayStation 3の映像と音声の信号をHDMI接続でAVアンプへ直接接続しておりましたが、これを止めて、LCDにHDMI接続で映像信号を送り、音声信号はAVアンプへ光ディジタル ケーブルによって電気的に絶縁された接続にして送出してみました。
すると厄介な事に、今度は以下の様な経路を辿ってノイズが伝わってしまいました。

[サブウーファー] –> [RCAピンプラグ ケーブル] –> [AVアンプ] –> [HDMIケーブル] –> [液晶ディスプレイ] –> [HDMIケーブル] –> [PlayStation 3] –> [LANケーブル] –> [ネットワーク スウィッチ] –> [LANケーブル] –> [光回線終端装置] –> [電話線] –> [電話機]

経路の途中に液晶ディスプレイが挿入されただけであり、グラウンドを経由したコモンモード ノイズは遮る事が出来ませんでした。

更には、PlayStation 3を取り除くと、今度は以下の様な経路を辿ってノイズが伝わります。

[サブウーファー] –> [RCAピンプラグ ケーブル] –> [AVアンプ] –> [HDMIケーブル] –> [液晶ディスプレイ] –> [HDMIケーブル] –> [ミドルタワー型PC] –> [LANケーブル] –> [ネットワーク スウィッチ] –> [LANケーブル] –> [光回線終端装置] –> [電話線] –> [電話機]

今度はPCを経由してノイズが伝わってしまいました。

このままでは埒が明かないという事で、ネットワーク スウィッチ(スイッチング ハブ)をアップグレードしてみる事にしました。

元々使用していたのはBuffaloのLSW-TX-5EPBという昔の製品でした。
これは安価ですが、プラスティック筐体で、電源は小型のACアダプターです。
ポートのノイズの絶縁も高品質とは言えないものかもしれません。

これを同じくBuffaloの2013年11月16日現在の現行製品の “LSW3-GT-5NS/BK” という高品質な製品に変えてみました。
こちらは金属筐体で、電源は少し大き目のものが内蔵されております。

そして交換した結果ですが、とても大きな効果がありました。
以前は電話機の通話に全く相手の声が解らない程の大きなノイズが入ったのですが、現在は通話に支障が無い程度にまでノイズが小さくなりました。
完全にノイズが無くならなかったのは残念ですが、これで一々電話をする度にサブウーファーの電源を切らずに済みます。
もし更にノイズを減らしたくなったら、電話回線のケーブルの間に挿入するコモンモード ノイズ対応のチョーク コイル型のノイズ フィルターを使えば良いかと思います。

ここで、オシロスコープで調べた様々なノイズ波形を御覧頂きたいと思います。
まずは、何も繋がっていない状態のオシロスコープの画面写真です。

オシロスコープの画面の写真。 波形は水平直線で電圧の値は0である。
オシロスコープの画面写真。

次に、プローブに私が指を触れた状態です。

オシロスコープの画面の写真。 正弦波のノイズ波形が映し出されている。 周波数は50Hzと表示されている。
オシロスコープで見た東日本の商用電源由来の50Hzのノイズ波形の写真。

東日本の商用電源の周波数である50Hzのノイズ波形が表れております。
私の身体とオシロスコープの基準電位とが50Hzの交流の電位差を持っています。

オシロスコープの画面の写真。 正弦波のノイズ波形が映し出されている。 周波数は凡そ60kHzとなっている。
オシロスコープに映し出された凡そ60kHzのノイズ波形の写真。

同じく私の指にプローブを当てた状態ですが、先程の50Hzの波形に乗っていた細かいノイズ波形です。
サブウーファーのスウィッチング電源由来60kHzのノイズが、私の身体とオシロスコープの基準電位との間に表れております。

次はAVラックです。メタル ラックですがメッキされているので、メッキが薄いくびれ部分にプローブを当てます。

AVラックの金属ポールのくびれ部分にオシロスコープのプローブの先端を当てているところを撮影した写真。
メタル ラックにプローブを当てている写真。
オシロスコープの画面の写真。 歪なノイズ波形が映し出されている。 周波数は50Hzと表示されている。
オシロスコープに映し出された50Hzの歪なノイズ波形の写真。

歪な波形が表示されております。
50Hzの商用電源由来のものです。

オシロスコープの画面の写真。 正弦波のノイズ波形が映し出されている。 周波数は凡そ60kHzとなっている。
オシロスコープに映し出された凡そ60kHzのノイズ波形の写真。

60kHzサブウーファーのスウィッチング電源由来のノイズ波形です。

下は記事の最初の方でお見せしたネットワーク スウィッチに表れたノイズ波形の商用電源のノイズの方を表示させた写真です。

オシロスコープの画面の写真。 歪なノイズ波形が映し出されている。 周波数は50Hzと表示されている。
オシロスコープに映し出された50Hzの歪なノイズ波形の写真。

波形の山が反転したりしております。
大きなノイズですが、商用電源のノイズは電話機の通話には影響しないようです。

最後はAVアンプを見てみます。

AVアンプの筐体側面のネジの頭のプラス穴にプローブの先端を当てているところを撮影した写真。
AVアンプの筐体側面のネジの頭のプラス穴にプローブを当てている写真。

AVアンプの筐体側面のネジの頭のプラス穴にプローブを当ててみました。

オシロスコープの画面の写真。 歪なノイズ波形が映し出されている。 周波数は50Hzと表示されている。
オシロスコープに映し出された50Hzの歪なノイズ波形の写真。

やはりAVアンプにも50Hzのノイズが表れました。

オシロスコープの画面の写真。 正弦波のノイズ波形が映し出されている。 周波数は凡そ60kHzとなっている。
オシロスコープに映し出された凡そ60kHzのノイズ波形の写真。

AVアンプはサブウーファーと直接接続されている為、盛大な60kHzのノイズが観察されました。
アンプのシャーシにこの様なノイズが観察されるという事は、オーディオ回路にも音質上良からぬ影響を与えているのかもしれません。
コモンモード ノイズは実に厄介です。


尚、対策の効果につきましては以下の記事を御覧下さい。
ブログ記事: ノイズ低減効果の確認

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